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知らないと危険!? 米国における物流業務改善を取り巻く環境 (2)米国での倉庫運営で特に注意すべき法規制やルール

2024.03.14
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2)米国での倉庫運営で特に注意すべき法規制やルール

米国各州により異なる法律やルールの中で、特に物流業務改善に関して留意すべきポイントについて解説します。

個人情報保護法関連の法律
CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)

カリフォルニア州で2018年に制定され、2020年に施行された個人情報保護法「CCPACalifornia Consumer Privacy Act)」は、物流においてどのような影響があり、対応するためにはどのような課題があるのでしょうか。

日本企業がCCPAに対応するためには、法的な規制への対応だけでなく、企業の組織文化や意識変革なども重要になります。また、個人データ保護に対する重要性を認識し、適切な対策を取ることが必要です。

1)制度の理解と対応計画の策定

CCPAは、EU一般データ保護規則(GDPR)と似た法律です。CCPAの要件や規制内容を理解し、個人データの取り扱いやデータの権利などに関する規制に準拠するための計画を企業内で策定することが必要です。

2)データマッピングとプライバシーアセスメント

データフローの可視化やリスク評価、プライバシーアセスメントの実施が重要です。個人データの収集、使用、共有、削除には透明性、確実性が求められます。

3)データサブジェクトの権利の保証

CCPAでは、個人データの所有者に、アクセス、削除、修正などの権利が与えられています。
企業はこれらの権利を実現するプロセスや手続きを明確にすることが必要です。

4)セキュリティとデータ保護対策

個人データのセキュリティと保護に関する要件が厳しく規定されているので、適切な技術、組織的な対策を講じ、個人データの漏えいや悪用を防ぐためのセキュリティ対策の強化が必須です。

5)サプライヤーとの契約の見直し

企業とサプライヤー間のデータ共有や取り扱いに関する規定も含んでいるため、サプライヤーとの契約を見直し、CCPAに準拠するための規約や措置を組み込むことも必要になります。

6)監督と報告義務

個人データの取り扱いに関する監督機関との連携や報告の義務があることから、内部監査や報告プロセスの整備も必要です。

食品トレーサビリティ関連の法律

米国の食品トレーサビリティに関する法律と、日本企業がそれら法律に対応するための課題はどのようなものか説明します。

米国では、食品安全と品質を確保するための食品トレーサビリティに関する法律に遵守することが必要です。日本企業がこの課題に対応するためには、食品トレーサビリティに関する最新の動向や規制変更に常に注意を払い、社内体制の継続的な改善と適応が求められます。

1)規制の理解と遵守

米国の食品トレーサビリティに関する法律や規制を理解し、米国食品安全強化法(FSMA)や米国食品医薬品局(FDA)が策定する規制に適合するための対策が必要です。

2)システムとプロセスの整備

生産工程や流通経路の追跡、製品ロットやバッチの識別、情報の保管と共有など、企業内でのデータ管理とプロセスの確立、トレーサビリティシステムの整備が必要です。

3)データの正確性と信頼性

食品トレーサビリティでは、生産者、供給業者、流通業者とのデータ共有などを強化し、正確なデータを迅速に収集、管理することによって、データの信頼性を確保することが必要です。

4)監査と監視の強化

自社のトレーサビリティシステムとプロセスを定期的に確認し、企業の監査や監視が要求された場合に、法的要件を満たしていることを迅速に提示できるようにすることが必要です。

5)コミュニケーションと危機管理

万が一の食品安全上の問題やリコール対応に備え、危機管理計画の策定とコミュニケーションの強化、迅速かつ適切な対応が可能な体制を整える必要があります。

倉庫作業員保護関連の法律
米国の倉庫運営では適切なノルマ設定や労働環境の提供が必要

米国の倉庫作業員の労働環境改善に関する、倉庫ノルマ規制法(AB701)とその対応について解説します。

米国カリフォルニア州で20219月に署名された「AB701(倉庫労働者保護法)」では、倉庫業界における作業者の労働環境や作業員保護の目的から、労働条件やノルマ設定に関する規制が導入されました。日本企業がAB701に対応するためには、AB701の要件を詳細に分析し、現行の労働環境と比較して、適切な改善策を検討することが必要です。

1)規制の理解と遵守

倉庫労働者の労働条件、休憩時間、報酬体系、ノルマ設定など、AB701の規制内容を理解し、それに準拠するための対策を講じることが必要です。

2)ノルマ設定と労働環境の見直し

ノルマの設定や労働環境をAB701に沿うよう見直し、労働者の健康と安全を確保する対策を実施することが必要です。

3)データ収集と報告義務

倉庫業者が労働者のノルマ達成状況や退職率などのデータを収集し、定期的に報告する義務があるため、必要なデータの収集と報告のためのシステムやプロセスを整備しなくてはなりません。

4)労働者の参加と意識向上

企業側と労働者側のコミュニケーションを強化し、労働条件やノルマ設定に関する意見交換やフィードバックの機会を提供することで、労働者の意識向上と参加を促進することが必要です。

5)法的アドバイスと専門家の支援

法的なアドバイスや労働法の専門家の支援、規制要件の解釈や実施に関する指導を受けることで、適切な対応策を講じることが必要です。

ニューヨーク州倉庫作業員保護法

倉庫作業者関連の法律としてもう一つ、ニューヨーク州の倉庫作業員保護法についても解説します。

米国ニューヨーク州で202212月に署名された「倉庫作業員保護法(Warehouse Worker Protection Act)」は、倉庫などの作業員保護の目的で、厳しいノルマなどを課すことを制限する法律です。これに対応するためには、ニューヨーク州の労働法や規制に精通した専門家の助言やコンサルタントの支援を受けることが重要です。さらに、労働者とのコミュニケーションを強化し、関係構築に努めることが必要です。

1)規制の理解と遵守

規制内容を詳細に理解し、労働条件に関する規定などを把握し、従業員の権利と安全を保護するための取り組みを行うなど、法律に準拠するための対策を講じなくてはなりません。

2)労働環境の改善

作業場の安全性確保や労働時間の管理、労働者への教育・訓練、適切な賃金設定など、労働環境の改善に取り組むことが必要です。

3)労働者の権利と福利厚生

適正な賃金体系の確立、休憩時間の遵守、退職手当や健康保険などの福利厚生制度の整備など、労働者の権利と福利厚生を保護する取り組みを行います。

4)データの収集と報告義務

従業員の労働時間や労働条件に関するデータなど、必要なデータの収集と報告を適切に行うためのシステムやプロセスを整備し、法的要件を満たします。

5)監査と監視の強化

自社の倉庫施設や労働条件を定期的に監査し、法的要件を遵守していることを確認するための体制を整備する必要があります。

州ごとに異なる規制とその対応

米国内とはいっても、州ごとに必要なライセンスや法規制には違いがあります。物流拠点がある米国各州のライセンスの取得や各州の商法への適用についての理解が必要です。

米国で物流拠点を運営するためには、各州の法律や規制に従う必要があります。物流拠点がある米国各州においてライセンスの取得や商法への適用に関する具体的な要件は、州ごとに異なるので、詳細な情報を得るためには各州の関連機関や専門家に相談し、正確かつ最新の情報を入手し、迅速な対応が求められます。

時差なく、求められるタイムラインに応じた業務ルールの策定/現場への定着を目的とした情報システムへの反映など対応の取れるパートナー選定が重要です。

 

1)ライセンスの取得

各州の運輸部門や州の経済開発機関など、関連する機関に連絡し、州によって異なる種類のライセンスや許可を取得することが必要です。例えば、倉庫業務を行う場合は倉庫業者のライセンス、運送業務を行う場合は運送業者のライセンスが必要です。

2)商法の適用

契約法や労働法、倉庫業法、交通法など、各州の商法や規制に従う必要があります。各州は独自の商法を持っており、契約の要件や労働条件、倉庫業務の規制なども州ごとに異なるので、各州の商法に詳細に目を通し、遵守しなければなりません。

3)税金と規制

物品の販売税や法人所得税、労働者の給与など、各州の税金と規制に従う必要があります。また、環境保護や労働安全規制などの州の規制も遵守する必要があります。

 

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