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世界中の工事現場で活躍する機械の部品供給体制を強化するため、
倉庫の共通インフラとして、ONEsLOGIを選びました。

コマツ(株式会社小松製作所) 様

物流センター管理システム(WMS)、タブレットピッキングシステム

(写真左より、コマツ物流株式会社 東日本物流部 関東補給センタ 管理課 課長 久元 健太郎氏、
コマツ 生産本部 小山工場 生産技術部 生産技術課 主任技師 鈴木 和幸氏、
コマツ 生産本部 小山工場 生産技術部 生産技術課 稲生 洋一氏、
コマツ 情報戦略本部 ソリューション部 部品グループ 主査 松本 広一氏)

コマツ(株式会社小松製作所) 様

コマツ(株式会社小松製作所)では、同社が提供する建設機械で使用する補給部品供給体制の再構築と強化をグローバルで進めています。
その物流センター管理システムとして日立物流ソフトウェアの「ONEsLOGI/ WMS(以下、ONEsLOGI )」が採用されました。導入の経緯と効果について紹介します。

* 取材時期 2016年3月
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。
* 2023年4月1日に日立物流ソフトウェアは、
  ロジスティードソリューションズへ商号変更しました。

もくじ
  1. 世界中のあらゆる場所で利用されるコマツの『ダントツ商品』
  2. 国内外の補給部品センター倉庫でONEsLOGIを活用
  3. 業務効率の向上とオペレーションの可視化、リードタイムの短縮を実現
  4. 国内外18カ所の供給拠点へと横展開することを前提に物流センター管理システムを選定
  5. 大多数の選定メンバーが日立物流ソフトウェアからの提案を支持
  6. 倉庫の現場をよく知っている専門家のサポートが、新倉庫へのスムーズな移行に貢献
  7. さらなる拠点への展開にあたり、日立物流ソフトウェアからのサポートと提案に期待

1.世界中のあらゆる場所で利用されるコマツの『ダントツ商品』

ハイブリッド油圧ショベル「HB215-2」 ダンプトラック「HD785」

写真上/ハイブリッド油圧ショベル「HB215-2」
写真下/ダンプトラック「HD785」
(写真提供:コマツ)

―― コマツについてご紹介ください。

コマツでは、電気モーターとディーゼルエンジンを併用した世界初(コマツ調べ。市販ベースの主要7建機において。2008年5月13日現在)の「ハイブリッド油圧ショベル」をはじめ、障害物を自動で感知して鉱石などを運搬する「無人ダンプトラック運行システム」など、突出した機能を持った『ダントツ商品』の開発を軸に、様々なサービスやソリューションを展開しています。

1921年の創立以来、建設・鉱山機械分野で国際的なリーディングカンパニーとしての地位を確立する一方、ユーティリティ(小型機械)、林業機械、産業機械や物流、サービス関連事業などの分野においても、幅広い商品とサービスを提供してきました。

現在では、世界中のあらゆる場所でコマツの製品をご利用いただいており、国内外に40カ所以上の工場、約150カ国に代理店を展開しています。 売上も約80%は海外が占め、コマツグループ社員の半数以上が外国籍となります。

2.国内外の補給部品センター倉庫でONEsLOGIを活用

―― コマツにおけるONEsLOGI の利用状況について教えてください。

現在、国内では小山工場と北海道の補給部品センター倉庫、海外ではオーストラリアの補給部品センター倉庫における物流センター管理システムとしてONEsLOGIを利用しています。ペーパーレス化を図ると同時に、補給部品の入出荷作業を効率的かつ正確に管理できるようになりました。

これまで小山工場においては、受発注システムと連携して出荷伝票を出力し、手作業で仕分けをして作業者に配付していましたが、ONEsLOGIの稼働に合わせてタブレット端末とバーコードリーダーを導入し、出庫作業の指示はタブレット端末の画面に表示されます。

また、これまではピッキング作業後に、出荷伝票の半券を回収してシステムへと反映していましたが、新システムでは部品のバーコードを読み取るとタブレット画面に反映されると同時に、リアルタイムでシステム側にもデータが反映されるようになり、万が一、誤った部品のバーコードを読み込んだ場合は、エラーが表示されミスピックを防ぐ仕組みも導入しました。

―― 入出荷量や取り扱い部品点数、作業者数などを教えてください。

小山工場の補給部品センターに関する情報は、次の通りです。

小山工場の補給部品センターに関する情報
項目 概要
取扱部品点数 約10万点
入荷量 約4,500 OL/日(OL:オーダアイテム数)
出荷量 約11,000 OL/日
対象地域
  • 主に東北・関東圏・中部圏
    (国内出荷量の約40%を担当、 「当日受付、当日出荷、翌日配送」を実現している)
  • 海外向け(船便および航空便)
作業人数 約200名
建屋面積 約22,000㎡
稼働開始 2014年8月(小山工場および栃木工場内の数カ所の部品倉庫を統合して新設、
新センター開設に合わせてONEsLOGIの稼働を開始)
小山工場内の補給部品センター内の様子とセンター内に設置されている高層ラック

小山工場内の補給部品センター内の様子(写真左)と、センター内に設置されている高層ラック(写真右)

3.業務効率の向上とオペレーションの可視化、リードタイムの短縮を実現

コマツ 生産本部 小山工場 生産技術部 生産技術課 主任技師 鈴木 和幸氏

「現場のオペレーションが、システムを通じてリアルタイムで把握できるようになりました」(鈴木氏)

―― ONEsLOGIの導入効果について教えてください。

新しく開設した小山工場の補給部品センターは、小山工場および隣接する栃木工場内に分散していた数カ所の部品倉庫を統合した倉庫です。そのため、ONEsLOGIすなわち物流センター管理システムだけでなく、倉庫の構造やオペレーションなども効率化されています。

さらに、日立物流ソフトウェアはONEsLOGIの導入だけでなく倉庫業務の効率化につながる様々な提案もしてもらっているので、相乗的な効果も含めて話をさせてください。

導入効果1
業務効率の向上

タブレット端末などのICTデバイスを用いた入出庫作業指示により伝票の仕分けなどが不要となり、緊急オーダ品の出庫出荷情報がスムーズに作業者へ展開指示されます。バーコードによる作業確認によりミスピックも削減され、オペレーション自体が大幅に効率化されました。

また以前は、オーバーフロー品のロケーションについてはマニュアルで分散ロケーション管理を実施していました。新システムではフリーロケーションで管理できるようになり、入出庫の効率を優先して部品の最適配置が可能となりました。

導入効果2
オペレーションの可視化

これまでは、ピックが終了した作業指示書の半券を集めて、システムに反映していました。そのため、リアルタイムでの作業状況を把握することができず、作業の遅れについて事前対応ができませんでした。

新倉庫では、現場のオペレーション進捗がシステムを通じてリアルタイムで把握できるようになり、作業状況を可視化して客観的に見極め、作業負荷を分散・均一化することができるようになりました。

導入効果3
リードタイムの短縮と適正化

受注を起点とした管理から納期を起点とした管理ができるようになり、同時に作業の進捗状況もリアルタイムで管理できるようになったため、リードタイムが短縮され、必要以上に前倒しで出荷の準備が進んでしまったり、納期遅れにつながったりするような場面が解消されました。

具体的には、海外向けの出荷に関しては、センター内のリードタイムがほぼ半減され、5日間の短縮を実現することができました。その結果、入荷からコンテナ出荷まで平均10日間かかっていたところを、最短で4日間にまで短縮することができました。

4.国内外18カ所の供給拠点へと横展開することを前提に
  物流センター管理システムを選定

コマツ 情報戦略本部 ソリューション部 部品グループ 主査 松本 広一氏

「グループ全体での補給部品供給体制強化に取り組んでいます」(松本氏)

―― 物流センター管理システムを刷新した経緯を教えてください。

まず、今回、物流センター管理システムを刷新した背景には、補給部品の供給体制を強化・効率化することで顧客満足度を高めると同時に、補給部品の販売やアフターサービス事業の収益力を高め、コマツブランドの価値を高めるというねらいがあります。

これは国内のみならずグローバルな戦略的取り組みで、今回の小山工場で導入を起点に国内外18カ所の供給拠点へと展開していくことを前提とする、いわばモデルケースとなります。

そのため、物流センター管理システムの刷新は単なる1倉庫におけるシステムの入れ替えではなく、補給部品供給体制強化の一環としての取り組みであるとも言えます。

―― 物流センター管理システムを含め、国内外の部品供給拠点の仕組みを共通化するのには、どのようなねらいがあるのでしょうか。

拠点ごとに最適化を図るのは非効率です。部品共通体制に限らず世界共通の「コマツ流」を確立することでガバナンスを強化でき、スピーディな横展開が可能となります。また、最適化には終わりはないので、仕組み自体の改善も工数と時間をかけずに各拠点に反映することが可能です。

また、仕組みを共通化することで、共通の評価軸を設定できるというメリットもあります。グローバルKPIを設定して、作業パフォーマンスの測定や分析を行いながら、拠点単体だけでなく、全体的な最適化を図っていく仕組みの確立もねらいの一つとなります。

―― 物流センター管理システムを選定したときの要件を教えてください。

物流センター管理システムの選定要件は、次の4つのポイントにまとめることができます。

要件1
ペーパーレス化と可視化の実現

旧来のオペレーションには、次のような問題や課題がありました。

  • 大量の出荷伝票を出力するのに時間と手間、そして大量の紙が必要。
  • 伝票の発行、仕分け、半券の管理など手作業が多い。
  • 作業者のミスなどによる誤出荷を防ぐのが難しい。
  • リアルタイムで作業状況を把握するのが困難。
  • 作業計画の精度を向上させることが難しく、配船計画と連動した納期管理を最適化できない。

紙伝票に依存したままではこのような課題を改善し、作業効率を高めるのは容易ではありません。ペーパーレス化、別の言い方をすれば作業環境のデジタル化を進めることで、作業自体の効率化を図ると同時に、作業状況の見える化を実現できるシステムであることが、第一の要件でした。

要件2
カスタマイズが可能なパッケージソフト

システムをスクラッチで開発するとなれば、手間とコスト、そしてそれだけの時間が必要となります。特に今回は、新倉庫の建設スケジュールに合わせてシステムも稼働させなければならず、時間をかけず定められた期間内に導入できることも外せない要件でした。

また、稼働実績が豊富で、機能が洗練されているWMS(倉庫管理システム)に業務を合わせることで、入出荷業務の最適化を図れるというメリットが期待できます。同時に、基本的な作業手順に関する議論が不要となり、カスタマイズで対応する機能の要件定義や開発に集中できるというメリットも考慮し、「カスタマイズが可能なパッケージソフト」の活用が理想的だと考えました。

要件3
グローバル展開へのサポート

システムがマルチ言語に対応しているという点だけでなく、実際に海外拠点への展開に関するサポートを受けられることも、物流センター管理システムの選定要件の一つでした。

要件4
システム間連携

物流センター管理システムは、受発注管理システムとのデータの受け渡しが必須となります。展開する拠点によりシステムや状況は異なりますが、 基本的には受発注管理システム側への影響、すなわち改修を最小限に抑え、物流センター管理システムで対応できることがシステム面では重要な要件でした。

5.大多数の選定メンバーが日立物流ソフトウェアからの提案を支持

コマツ 生産本部 小山工場 生産技術部 生産技術課 稲生 洋一氏

「自社開発製品なので、柔軟なカスタマイズや迅速なトラブル対応が期待できると考えました」
(稲生氏)

―― ONEsLOGIを選択した理由を教えてください。

ONEsLOGIの機能や仕様だけでなく、提案力や実績、サポート体制なども総合的に評価して採用を決めました。数社からの提案を受けた中で、選定メンバーのうち大多数のメンバーが支持したのが日立物流ソフトウェアからの提案でした。

主な選定のポイントは次の通りです。

ONEsLOGIに関する選定ポイント

  • 物流に特化したベンダーの製品である。
  • WMSとして基本機能が一通り網羅されており(作り込みが不要)、完成度が高い。
  • システム上で作業状況をリアルタイムで把握できる。
  • タブレット端末を使用したシステム構築が可能(実績がある)。
  • タブレット端末はハンディターミナルと比べ、使い勝手が良く、安価に導入・運用が可能。
  • カスタマイズを最小限に抑え、短期導入が可能。
  • 稼働実績が豊富なので、信頼性が高く、長期間にわたって安心して利用できる。
  • 定期的にバージョンアップが実施されているので、継続的な機能向上が期待できる。
  • 自社開発製品なので、柔軟なカスタマイズや迅速なトラブル対応が期待できる。
  • マルチ言語に対応している。

日立物流ソフトウェアに関する選定ポイント

  • 物流関連システムに特化したベンダーであり、経験や知識、ノウハウが豊富。
  • システムの導入や構築だけでなく、倉庫業務を最適化するための相談にも乗ってもらえる。
  • 国内だけでなく、海外におけるシステム導入や構築の実績があり、海外拠点における導入にも対応可能。
  • 要件に対する理解力と提案力も高い。

6.倉庫の現場をよく知っている専門家のサポートが、
  新倉庫へのスムーズな移行に貢献

コマツ物流株式会社 東日本物流部 関東補給センタ 管理課 課長 久元 健太郎氏

「不明点や疑問点があればすぐに回答してもらえたのでとても助かりました」(久元氏)

―― 日立物流ソフトウェアへの評価をお聞かせください。

まずシステムの立ち上げに関して、これまでの経験上、稼働時に大きなトラブルがなくスムーズに稼働を開始することは難しく、システム間の連携に関しても責任を持って対応いただき納期通り稼働開始できました。日立物流ソフトウェアに依頼をして本当に良かったと思っています。

問い合わせや要望への対応も迅速で、不明点や疑問点があればすぐに回答してもらえたのでとても助かりました。このようなスピード感は、補給部品をお客さまへ確実に出荷する当社にとって非常にありがたい対応でした。

また、倉庫の現場をよく知っていて、他社の現場での事例や取り組みを挙ながら、的確なアドバイスをしてくれました。小山工場における導入に関しては、複数に分かれていた倉庫を新倉庫へと移行・統合する作業と並行して、システムの設計・構築を進めなければなりませんでしたが、システム面を専門家に任せることで、当社としてなすべき新倉庫の立ち上げ業務に集中して取り組むことができました。

―― 海外拠点(オーストラリア)への展開に関しては、いかがでしたでしょうか。

英語で会話できるSEを派遣してもらえたので、現地の担当者とのコミュニケーションも円滑で、ONEsLOGIの導入をスムーズに進めることができました。ONEsLOGI自体も順調に稼働しており、小山工場とは異なるシステムになりますが、受発注管理システムとの連携も改善されたことで、現地からも高く評価されています。

また、オーストラリアで改善した仕組みを小山工場に反映してもらう際にも、迅速に対応してもらいとても助かりました。

7.さらなる拠点への展開にあたり、
  日立物流ソフトウェアからのサポートと提案に期待

―― 日立物流ソフトウェアに対する要望や期待があればお聞かせください。

今後、さらに国内外の拠点へとシステムを横展開していきますが、拠点によって受発注システムが異なったり、導入時の倉庫形態が異なったりします。たとえば、小山工場のケースでは複数倉庫を統合して新しい倉庫へと移設しましたが、オーストラリアではアウトソーシングしていた倉庫業務の内製化を目的とし、新倉庫建築とともに物流センター管理システムを刷新しました。

そのため、これからも日立物流ソフトウェアのサポートや提案に期待するところは少なくありません。今後も、これまでと変わらない迅速で、丁寧な対応に期待しています。

コマツ(登記社名:株式会社小松製作所)

本社所在地
 東京都港区赤坂二丁目3番6号(コマツビル)
代表者
 代表取締役社長(兼)CEO 大橋 徹二
資本金
 連結 678億70百万円 (米国会計基準による)、単独 701億20百万円
従業員数
 連結 47,017名、単独 10,449名(2016年3月末現在)
事業内容
 建設・鉱山機械、ユーティリティ(小型機械)、林業機械、産業機械などの事業
URL
 http://www.komatsu.co.jp/ ※コマツ(株式会社小松製作所) 会社サイト

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